小暮写眞館 宮部みゆき

 英雄の書から約一年ぶりとなる宮部みゆきの新刊。現代ものの話は楽園以来となる。

「新人、宮部みゆき」というキャッチコピーが発売前に気になっていたが、読み終えてみてこのコピーは正しいと思った。
 本作は著者お得意のミステリー要素も含まれているのだけれど、中心はあくまで青春。後半のほうで主人公が恋に芽生え始めるあたりからはグングンと物語の加速度を増していき、読み進める手を止められなかった。久しぶりに面白い宮部みゆきが帰ってきたな、という印象。「おそろし」とか「英雄の書」とは一体何だったのかと思ってしまった。
 序盤は若干退屈かもしれないが、2000円、もしくは700ページに費やす価値は充分にある。最近の宮部は駄目だなぁ、と思っている人には是非オススメ。

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

 21冊目。