2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

幽談 京極夏彦

京極小説の別天地、と本の帯に書かれていたが、別にそんなことは無い。氏の小説からエンタメ部分を取っ払ってしまえば、丁度こんな感じになるだろう。 中でも最終節の「こわいもの」は良い。これが京極氏の論理だ、と端的に感じさせてくれる。百鬼夜行シリー…

タカイ×タカイ CRUCIFIXION 森博嗣

Xシリーズの第三弾。 なんというか、特筆する点は何も無い。このシリーズは個人的にファーストフードを思わせる。お手軽さが売りみたいな、そんな感覚。 最新作「ブラッド・スクーパ」に期待しよう。タカイ×タカイ CRUCIFIXION (講談社文庫)作者: 森博嗣出版…

この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 白石一文

会社の先輩が電車の中で読んでいたのを思い出して、ちょっと手を出してみることに。上下巻の2冊に加え、参考図書の引用に継ぐ引用の構成、啓蒙思想(?)満載の内容であるが、個人的には非常に面白かった。ストーリー自体には何のカタルシスもなく、フラット…

ここはボツコニアン 宮部みゆき

宮部みゆきの最新刊。 ゲームのボツネタを主題としたファンタジーの新シリーズである。 ……。 たぶん宮部ファンの半数以上の人がこう思ったんじゃないだろうか。ドリームバスターシリーズを先に書いてくれ――と。宮部氏って結構シリーズを抱えてて、思いつくだ…

恋都の狐さん 北夏輝

第46回メフィスト賞受賞作。 灰汁の非常に強いこの賞で恋愛小説というジャンルが制するとは、いったいどんな珍事が起こったのだろうか。僕が今まで読んだ同賞の受賞作は全て殺人が絡んでおり、人の死なないメフィスト賞というだけでも興味が湧いた。 という…