蒼路の旅人 上橋菜穂子

 守り人シリーズ第6作目。タイトルに「旅人」とあるので、主人公は弱小国の皇太子チャグムとなっている。バルサは一切登場しないが、誰が主人公であろうと、筆者の腕前にあっては全く関係ない。
 本作は次回へと続く最終章の序章となっている。物語としては全く完結していないんだけど、運命に翻弄されるチャグムを見ているだけで僕は十分に満足することができた。近年の小説で感情をぐっと揺さぶられるのは、上橋菜穂子の作品くらいではなかろうか。登場人物が生きているのはもちろんのこと、文章で描かれた世界観をものすごくリアルに感じることにより、僕はこの「守り人」ワールドで起こっていることに対して強く感情移入していると思う。
 最終章はいつ文庫化されるだろう。終わってしまうのは寂しいが(実際は既に完結してるけどね)、発売を楽しみに待つとしよう。

蒼路の旅人 (新潮文庫)

蒼路の旅人 (新潮文庫)

 37冊目。