魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD 舞城王太郎/越前魔太郎

 ついに舞城王太郎が降臨。やっぱ、本家は全然違う。お馴染みの【冥王星O】【窓を作る男】【顔のない女】ですら、他の作家の描いたものとは異なっている。【冥王星O】はファンキーかつクレイジーだし、【窓を作る男】は少し軽いし、【顔のない女】にいたっては何故か可愛らしいのだ。
 内容も舞城がライトノベルを書きましたと云わんばかりで、吸血鬼や人狼といったオールドモンスターが登場したり、人間が際限なく生き返ったり、いつものトンデモ推理から見立てまで、エンターテインメントの舞城がぎっしりと詰まっている。中でも、主人公である冥王星Oのハッタリが、敵や味方そして自分自身まで翻弄していく様が非常に面白い。序盤の人間vs人狼がとてつもなくツマラナイことを除けば、個人的にほぼ完璧の一冊だった。
 先々月発売の「NECK」よりは何十倍も面白い。純文学なら「イキルキス」、エンタメなら本書を読めばいいと思う。第一部完結ということで、二度と続編は拝めない臭いがプンプンと漂っているが、数年後に舞城が気まぐれで書いてくれることを期待しておこう。

 41冊目。