九十九十九 舞城王太郎

 最近、舞城しか読んでねぇような……。コイツも8月の終わりに、イキルキスを我慢できずに読んでたモノの1つ。大学1回生のとき以来なので、6年ぶりとなる。
 この小説の特徴としては、メタフィクションメタフィクションをサンドし続けるという悪ふざけを徹底している点にある。正にマトリョーシカである。当時は「こんなややこしいモン書いてんじゃねーよ」と思ったものだが、「ディスコ探偵水曜日」を読了した今の僕には雑魚同然だ。ややこしい純文学的な要素が一切無いので、非常に親切な造りとさえ思えてしまう。今思えばこの辺りが、作家舞城王太郎の分岐点だったのかもしれない。とまあ――判りやすいと言いつつも、「意味判らせてやんねー世」というのがこの小説のスタンスなので、買う時はご注意を。
 話は変わるがホント、舞城は「見立て」が好きなんだな。今も昔も。意味の無いところから意味を無理やりと引っ張り出す力技は素晴らしいと言わざるを得ない。

九十九十九 (講談社文庫)

九十九十九 (講談社文庫)

 42冊目。