花と流れ星 道尾秀介

 真備シリーズ第三弾。シリーズ初の短編集であり、かつシリーズ最新作でもある。2009年に発行されて以来、音沙汰が無いので、あまり続編は期待できないのかもしれない。まあ、京極夏彦百鬼夜行シリーズと似通ってるし(キャラ的に)、他の著作の方が断然面白いので、僕は一向に構わなかったりする。
 さて内容だが、短編集と示す通り、小粒なミステリーが収められている。氏が得意とする叙述トリックなどの小説でしか表現できないネタはまだ少なく、やや力不足な印象。ただ、デビュー間もない頃に書かれたものが多いので、これは致し方ないところだろうか。
 全五編の中で「モルグ街の奇術」が一番良かったかな。ネタはともかくとして、今後のシリーズとしての方向性はこんな感じで良いと思う。この世に不思議は無いと説く百鬼夜行シリーズに対して、この世に不思議はあると主張するのが真備シリーズである。今後も続いていくなら、氏ならではの手法でこの世の不思議を表現してくれるに違いない。

花と流れ星 (幻冬舎文庫)

花と流れ星 (幻冬舎文庫)

 18冊目。