The Indifference Engine 伊藤計劃

 ついに伊藤計劃がリリースした生前の作品は全て文庫化された。
 しかし、まだまだ「Project Itoh」は終わらない。最後に収録されている「屍者の帝国」は、円城塔が引き継いで出版する予定だ。作風は全然違うので、正直出来栄えは未知数ではあるけれど。
 日本のSF界を引っ張っていくと思われた伊藤計劃円城塔。1人は亡くなり、もう1人は純文学の世界で台頭している。だからこそ2人の合作となる「屍者の帝国」は非常に楽しみでならない。
 さて、本作品についてだが、表題作の「The Indifference Engine」と「From the Nothing, With Love」は面白いが、残りはあんまり評価できない。小説として1冊に纏めようとするあまり、出来の悪いものまで寄せ集めたからだろう。しかし、それも仕方ない話ではある。この本は伊藤計劃の出版物というところに大きな価値があるのだから。

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

 21冊目。