獣の樹 舞城王太郎

「NEO舞城王太郎BEGINS!」というキャッチフレーズであるが、なんのことはない。いつもの舞城だった。単にリリースラッシュだけだったようだ。
 前々作の「ディスコ探偵水曜日」が、舞城にとって1つ壁になっていることは間違いない。どうにもインパクトの面では、アレを超えることは難しそうだ。正直、本作の中盤からはそんなに面白くない。ヒトのアイデンティティとは何か?ということについて、初めから終わりまで突っ走ったほうが良かったと思う。
 しかし、あいかわらず言葉にできないようなことを言葉に変えてしまう力は凄いし、ミステリーを根元から粉砕していく場面など、「ビッチマグネット」では薄かった舞城の力技が見られたのは素直に嬉しい。
 今後は「NECK」「イキルキス」「冥王星O」と連続して、作品が発表される。ホント、楽しみで仕方がない。

獣の樹 (講談社ノベルス)

獣の樹 (講談社ノベルス)

 28冊目。