あんじゅう 三島屋変調百物語事続 宮部みゆき

 宮部みゆきの新刊。「おそろし 三島屋変調百物語事始」の続編である。
「小暮写眞館」も同じだったけど、読み進めるペースがぐっと加速するまでに時間がかかった。ただ中身としては、同様に申し分なし。近年の宮部は好調と言っても差し支えないだろう。
 前作の「おそろし」は怪談に見せかけた出来の悪いファンタジーだったが、今作はかなり良いバランスで「時代物」「怪談」「ファンタジー」の要素が成り立っていると感じた。特に表題作の「暗獣」は、ベタながら心を揺さぶられる傑作だった。瞳が若干うるっときたことはここだけの話にしておこう。
 前作を読みきる苦痛はあれど、本作込みならば十分オススメできる。作者には「ドリームバスター」をさっさと終わらしてもらって、こっちに注力して欲しい。ただ百物語を書ききるには、宮部の寿命が圧倒的に足りないけどね。

あんじゅう―三島屋変調百物語事続

あんじゅう―三島屋変調百物語事続

 48冊目。