この世の全部を敵に回して 白石一文

 小説なんてルールがないので何をやっても構わないんだけど、これは個人的にありとは言えない。登場人物が延々と思想をぶちまけるという斬新なスタイルなんだけど、だったらエッセイでいいじゃんと思ってしまう。作者自身が考えていることなのかどうかは知りようがない、というところが気に食わないなぁ。
 次に刊行された「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」はその辺りがうまくバランスのとれた作品になっているので、当小説が出版されたことにも一応意義があったんだろうとは思うけどね。

この世の全部を敵に回して (小学館文庫)

この世の全部を敵に回して (小学館文庫)

 28冊目。