オブ・ザ・ベースボール 円城塔

 円城塔が純文学作家として"再デビュー"した最初の作品。
 この作品の設定を簡単に書くと、空から人が降ってくる町でレスキュー隊をしている主人公はベースボールのプレイヤーだった、という感じ。
 …………。
 な… 何を言っているのか わからねーと思うが(ry

 ストーリーとしては終始不条理さを貫いているので、何とも言えないシュールな気分を抱いたまま、読み終えてしまうことになる。円城氏の小説はネタバレなんてしようが全くのお構いなしで、正直新感覚の小説であると言わざるを得ないだろう。氏が芥川賞を受賞できた理由も、この圧倒的な意味不明さが大きな要因を占めているような気がしてならない。
 あとがき集みたいなのを出版してくれないかな。一つ一つの作品にどんなメタファーが隠れているのか気になって仕方ない。それにどんな思考回路でこんな文書を書いているのかも非常に興味がある。氏にはどんな景色で世界が見えているのか。それを想像するのも面白かったりする。

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

 24冊目。

B'z - EP B'z

 California Splash!!
 もはや意味不明な歌詞だが、「Splash」は本当に最高だ。原曲もダンサンブルなサウンドに乗せて歌詞を畳み掛けるように歌う曲だったが、英語に変えたことにより、さらにシャープさを増したように感じる。いや〜超カッコいいわ。
 あと「Love Bomb」も良い。「Into Free - Dangan」も同様。これらは原曲に充分匹敵する出来だと思う。「Juice」はまあまあかな。違和感もほとんどないし。
 でも「Ultra Soul」は全然駄目だった。元々バンドサウンド向きの曲じゃないので、英語版以前の問題かな。この曲の良いところはスピード感なので、是非とも打ち込みで再録して欲しかった。
 やっぱ五曲じゃ物足りない。早くアルバムを発売してくれ! とりあえずB’zの25周年が始まる9月以降に期待しておこう。

ヘヴン 川上未映子

 今まで純文学は基本的に敬遠してきたが、最近は抵抗というか摩擦というか、そんなものがだいぶ少なくなってきたような気がする。
 ということで、作家兼歌手というマルチな才能を持っている、川上未映子の著作を手に取ってみた。「わたくし率 イン 歯ー、または世界」がものすごく気になったが、とりあえず無難なタイトルである「ヘヴン」を選択することに。
 最近巷を賑わせている「いじめ」を主題にして、それに連なる善悪の根源を問う、といった大層な小説なんだけど、やはり中身はそこそこ重苦しい。幸いにして僕はえげつないほどの暴力がふるわれている現場を見たことがないので、正直こういう小説は苦手だ。最近のニュースから流れてくる現実もフィクションと大差が無いので、本当に遣る瀬無い気持ちになってしまう。いじめって無くならないかなぁと思うけれども、水が高いところから低いところに流れるように、力も強いものから弱いものへふるわれてしまう事が多いので、結局のところ無くなりはしないのだろう。子供の世界でも、大人の世界でも、理不尽な暴力は終わらないし、止めることが出来ない。それでも、作品中の登場人物が言っていたように仕方ないといって割り切ることを善しとすることは出来ない。
 人間がもっと単純だったらこんな風にはなり得なかったのかなぁ。
 とりあえず現実に起こっている問題に抱く思いとしては、「いじめ」っていう言葉を撲滅して欲しいね。殴ったり蹴ったり、金をせびったり、死んだ蜂食わしたり。これらは言葉が感じさせる印象を遥かに凌駕していると思う。

ヘヴン (講談社文庫)

ヘヴン (講談社文庫)

 23冊目。

Living Things Linkin Park

 Linkin Park、通算5作目で2年ぶりのニューアルバムが発売した。
 前作の時も書いたような気がするんだけど、もういい加減に「Hybrid Theory」や「Meteora」の幻影の押し付けから彼らを解放してやって欲しい、と僕は思う。デビュー12年目だよ? 20代前半に作ったアルバムを30代後半で作れって、土台無理な話って少し考えれば分かるだろうに。CDの帯ですら「これが新たなハイブリッド・セオリー」って書いているし。もうね、アホかと言いたい。変わらないことの安心感なんてロックにはクソ喰らえな存在なんだから、こんな失礼な文言はさっさと取っ払って欲しいな。
 内容は「Minutes To Midnight」と「A Thousand Suns」の延長線だろうか。メロディは前者、サウンドは後者かな? 曲順はやや不満あれど、「Victimized」まではあっという間に駆け抜ける。現時点のお気に入りは「Lost in the Echo」と「I'll Be Gone」。「Skin to Bone」も地味に面白いかな。

Living Things

Living Things

リヴィング・シングス

リヴィング・シングス

慟哭 貫井徳郎

 初の貫井徳郎。とりあえず有名なデビュー作から読んでみた。
 10年前に出版されたことを考えれば、良いトリックなのだろうか? 色んなタイプのミステリー小説を読んできた人間ならば、読み始めて10分ほどでネタが割れてしまうかもしれない。
 もうこの手のタイプのミステリーを楽しめなくなってしまったことが、何よりも残念だな。読書の経験だけでもリセットしたいものである。

慟哭 (創元推理文庫)

慟哭 (創元推理文庫)

 22冊目。

The Indifference Engine 伊藤計劃

 ついに伊藤計劃がリリースした生前の作品は全て文庫化された。
 しかし、まだまだ「Project Itoh」は終わらない。最後に収録されている「屍者の帝国」は、円城塔が引き継いで出版する予定だ。作風は全然違うので、正直出来栄えは未知数ではあるけれど。
 日本のSF界を引っ張っていくと思われた伊藤計劃円城塔。1人は亡くなり、もう1人は純文学の世界で台頭している。だからこそ2人の合作となる「屍者の帝国」は非常に楽しみでならない。
 さて、本作品についてだが、表題作の「The Indifference Engine」と「From the Nothing, With Love」は面白いが、残りはあんまり評価できない。小説として1冊に纏めようとするあまり、出来の悪いものまで寄せ集めたからだろう。しかし、それも仕方ない話ではある。この本は伊藤計劃の出版物というところに大きな価値があるのだから。

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

 21冊目。

ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper 森博嗣

 森博嗣流の剣豪小説。シリーズ第2弾となる。構想的には3作でシリーズ完結を見込んでいたらしいが、どうやら5作ほど要するとのこと。「スカイ・クロラ」シリーズと似て非なる当シリーズ。非常に嬉しい話である。
 血を掬う者(?)というタイトルから連想されるように、本作は殺陣シーンが非常に多い。短い言葉で一瞬を描きだす森博嗣のセンスは結構好きだ。アニメーションなんかで誰か表現してくれないかな、と少し妄想も膨らむ。

ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper

ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper

 20冊目。