この一ヶ月で読んだ小説など

書く気ねえなぁ、と思っていたら、2月になってしまった。もう12分の1が終わったなんて考えたくないなぁ。もえない Incombustibles (角川文庫)作者: 森 博嗣出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/12/25メディア:…

的を射る言葉 森博嗣

森博嗣流「本日の一言」を寄せ集めた本。 タイトルで的を射ると書いているが、これは真っ赤な嘘。どちらかと言えば、的を狙って外したであり、正直毒にも薬にもならない内容だと感じた。 個人的にだが、森の著書の中ではかなりツマラナイ部類に入る。どうせ…

遠まわりする雛 米澤穂信

古典部シリーズ、第4弾。 近作は日常の古典部員たちを描く短編集となっている。なお最新作「ふたりの距離の概算」では2年生に進級しているので、1年生はここまでのようである。 読み終わった感想としては、古典部シリーズの中で一番面白い、それどころか米澤…

あんじゅう 三島屋変調百物語事続 宮部みゆき

宮部みゆきの新刊。「おそろし 三島屋変調百物語事始」の続編である。 「小暮写眞館」も同じだったけど、読み進めるペースがぐっと加速するまでに時間がかかった。ただ中身としては、同様に申し分なし。近年の宮部は好調と言っても差し支えないだろう。 前作…

カンガルー日和 村上春樹

村上春樹の短編集。まあ短編というよりはショートショートかな。さっくり読むには良い感じと思って購入したが、読み終わるのに結構時間を要してしまった。つまり、個人的には凡作いう評価に当てはまる。 村上春樹のシュールで独特な感じは嫌いじゃないんだけ…

他人事 平山夢明

気分の悪くなる短編集。正直購入したことを後悔したくなった。いくつか面白いストーリーはあれど、基本的に「理不尽」が付き纏うので、どんどん気が滅入ってくる。収録されている全14編が好きな人は少し危ないかもしれない。 僕のオススメは「ダーウィンとベ…

クドリャフカの順番 米澤穂信

古典部シリーズ、第3弾。 待ちに待った文化祭、作りすぎた文集「氷菓」、そして連続盗難事件と、今回の古典部シリーズも絶好調だ。僕はこれを読んで、小市民シリーズより魅力的であると確信に至った。文化祭で主要登場人物がわちゃわちゃしているだけなのに…

イナイ×イナイ 森博嗣

Xシリーズ第1弾。ノベルスが一向に出版されない代わりに、文庫化は急ピッチで進んでいるような気がする。 さて新シリーズの出来栄えだが、流石にこれは首を傾げざるを得ない。AmazonにおいてGシリーズの評価は不評だが、個人的には講談社シリーズの中で一番…

愚者のエンドロール 米澤穂信

古典部シリーズ第2弾。実は読了したのが一ヶ月前だったりする。 内容をざっくり言えば、未完成なミステリー映画の結末を推理しろ、というもの。何を言ってもネタバレになりそうだが、この作品は作者の地位が確立している今だからこそ出版すべきような気がし…

九十九十九 舞城王太郎

最近、舞城しか読んでねぇような……。コイツも8月の終わりに、イキルキスを我慢できずに読んでたモノの1つ。大学1回生のとき以来なので、6年ぶりとなる。 この小説の特徴としては、メタフィクションにメタフィクションをサンドし続けるという悪ふざけを徹底し…

魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD 舞城王太郎/越前魔太郎

ついに舞城王太郎が降臨。やっぱ、本家は全然違う。お馴染みの【冥王星O】【窓を作る男】【顔のない女】ですら、他の作家の描いたものとは異なっている。【冥王星O】はファンキーかつクレイジーだし、【窓を作る男】は少し軽いし、【顔のない女】にいたって…

魔界探偵 冥王星O トイボックスのT 越前魔太郎

メディアワークス文庫の冥王星Oは「ペインのP」以来。もはや何の期待も無く読んだが、面白くなかったということに関しては期待通りだったかもしれない。……皮肉だ。 しかしペインのPもそうだったんだけど、登場人物に対して無意味なコスプレをさせたがるんだ…

ゾラ・一撃・さようなら 森博嗣

シリーズ外の小説と銘打っているが、実はS&MシリーズやVシリーズの外伝。エンジェル・マヌーヴァにまつわるストーリーである。 これも2週間ほど前に読んだものだが、イキルキスとは違って、大して記憶にも残っていない。ハードボイルドにしてもミステリーに…

イキルキス 舞城王太郎

2週間ほど前に読んだ、舞城王太郎の最新刊。「イキルキス」「鼻クソご飯」「パッキャラ魔道」の3編が収録されている。それぞれの短編は年代に3年ほどのブランクがあるため、作家舞城王太郎のキャリアが詰まっている小説だ、と言っても過言ではない。昔の舞…

蒼路の旅人 上橋菜穂子

守り人シリーズ第6作目。タイトルに「旅人」とあるので、主人公は弱小国の皇太子チャグムとなっている。バルサは一切登場しないが、誰が主人公であろうと、筆者の腕前にあっては全く関係ない。 本作は次回へと続く最終章の序章となっている。物語としては全…

ηなのに夢のよう 森博嗣

Gシリーズ第6弾。ようやく折り返し地点だが、最近講談社ノベルスで新刊が出ていないので、完結はまだまだ先のようだ。さらに「真賀田四季」を中心とした世界観の全貌が判明するのは、女王シリーズが完結したときだろう。森博嗣の引退はまだまだ先だな。出版…

魔界探偵 冥王星O ジャンクションのJ 越前魔太郎

冥王星Oシリーズ、……えーと第何弾だろう? もう全然分かんないや。 惰性で買ったが、今回はちょっと当たり。どうせコラボすんならこれくらい無茶苦茶なほうが良い。でも、こういうメタフィクションを用いた展開は、てっきり舞城王太郎がやるものだと思ってい…

ボトルネック 米澤穂信

ちょっとした暇つぶしをするのに、抜群な作家である。ページ数も少ないし、そこそこの読後感を与えてくれるので、僕は結構好きだったりする。 本書も例に漏れず、あいかわらずの米澤節が味わえる。ネタバレ気味な感想になっちゃうけど、僕が主人公だったら死…

菜々子さんの戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 高木敦史

Yahooのトップニュースにもあった、ネット上で全文無料掲載しているライトノベルを読んでみた。今まで「戯言シリーズ」と「冥王星Oシリーズ」しかラノベを読んだことが無かったことと、電子書籍が初体験だったので、少し新鮮な気持ちで読書に臨めた。 結論を…

臨機応答・変問自在 森博嗣

森博嗣が10年ほど前に発売した新書。 講義中における大学生の質問とそれに対する森の回答を本にしたもの。それなりに面白い。そして、それ以上に耳が痛い内容でもある。 この本を読めば、思考を放棄することがいかに愚かであるということを思い知らされるだ…

NECK 舞城王太郎

今月2作目となる舞城王太郎の新作。内容は、新作小説が1つに、絵コンテ付きの脚本が2つ、映画の原案が1つとなっている。 正直な感想なんだけど、映画の原作が一番面白くない。舞台版は結構ホラーな内容だったので、コレを映画化すりゃ良かったのに。もったい…

ラットマン 道尾秀介

道尾秀介の文庫最新刊。 ほとんど文庫しか読まないので、この評価もどうかと思うが、道尾の中では一番面白かった。個人的に気に入っている「シャドウ」や「向日葵の咲かない夏」よりも読後感が段違いに良いので、正直オススメである(というか、この2作を比…

砂漠 伊坂幸太郎

――砂漠に雪を降らせることだって、余裕でできるんですよ。 あいかわらず伊坂幸太郎はオサレだ。意味があるようでほとんどない言葉を書かせたらピカイチかもしれない。 作中にて売れる小説の条件を「ユーモアと軽快さと、知的さだ。洒落ているいるだけで、中…

獣の樹 舞城王太郎

「NEO舞城王太郎BEGINS!」というキャッチフレーズであるが、なんのことはない。いつもの舞城だった。単にリリースラッシュだけだったようだ。 前々作の「ディスコ探偵水曜日」が、舞城にとって1つ壁になっていることは間違いない。どうにもインパクトの面で…

コインロッカー・ベイビーズ 村上龍

初、村上龍。 正直、小説自身の持つパワーに圧倒された。凄く面白かったが、それでも村上龍の別作品を読んでみたいとは思わなかった。ここまで読むことに疲れたのは、ドグラ・マグラ以来かもしれない。 余談だが、僕のフェイバリットは舞城王太郎である。本…

魔界探偵 冥王星O ペインのP 越前魔太郎

雑誌を抜けば第4弾の冥王星Oシリーズ。 講談社ノベルス以外は外伝と見てもいいのかな。特に今作はそれが顕著だったと思う。 さて内容だが、一言で表すとするなら「好みじゃない」といっておこう。久しぶりに受け付けない小説を読んだ。ストーリー構成自体は…

小説家という職業 森博嗣

森博嗣流、小説のノウハウ本である。 制作秘話みたいなものを期待して買ってみたが、少し肩透かしを食らってしまった。これなら「自由をつくる 自在に生きる」の方が断然面白い。でも、森博嗣が好きなら買ってみても後悔はしないだろう。やはり氏のスタンス…

好き好き大好き超愛してる。 舞城王太郎

もう何回読んだだろう。実家にノベルス版を置いてきたので、文庫版を購入し、あっという間に読んでしまった。 個人的に舞城作品の中でベストであり、究極の恋愛小説でもある。「ビッチマグネット」はともかくとして、なんでコイツで芥川賞が受賞できなかった…

冥王星O ホーマーのH 越前魔太郎

冥王星Oシリーズの第3弾。もう真打が出てくるまで買い続けてやろうと思う。ほとんど意地である。 さて、本作は前2作と比較してみて、内容や文章が手堅いような印象を受けた。ただ覆面作家というポジション上、これが良いとはいえないだろう。もっとアクの強…

小暮写眞館 宮部みゆき

英雄の書から約一年ぶりとなる宮部みゆきの新刊。現代ものの話は楽園以来となる。「新人、宮部みゆき」というキャッチコピーが発売前に気になっていたが、読み終えてみてこのコピーは正しいと思った。 本作は著者お得意のミステリー要素も含まれているのだけ…