この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 白石一文

会社の先輩が電車の中で読んでいたのを思い出して、ちょっと手を出してみることに。上下巻の2冊に加え、参考図書の引用に継ぐ引用の構成、啓蒙思想(?)満載の内容であるが、個人的には非常に面白かった。ストーリー自体には何のカタルシスもなく、フラット…

ここはボツコニアン 宮部みゆき

宮部みゆきの最新刊。 ゲームのボツネタを主題としたファンタジーの新シリーズである。 ……。 たぶん宮部ファンの半数以上の人がこう思ったんじゃないだろうか。ドリームバスターシリーズを先に書いてくれ――と。宮部氏って結構シリーズを抱えてて、思いつくだ…

恋都の狐さん 北夏輝

第46回メフィスト賞受賞作。 灰汁の非常に強いこの賞で恋愛小説というジャンルが制するとは、いったいどんな珍事が起こったのだろうか。僕が今まで読んだ同賞の受賞作は全て殺人が絡んでおり、人の死なないメフィスト賞というだけでも興味が湧いた。 という…

13階段 高野和明

最新刊「ジェノサイド」があちらこちらで有名な同作者のデビュー作。なんとなく敬遠していたけど、ここに至って読んでみることに。 光市母子殺害事件の死刑判決確定により、わりとタイムリーなタイミングで読了となってしまった。思うところは色々あれど、社…

ACIDMAN THE BEST BOX ACIDMAN

結成15年&デビュー10周年の記念BOXが発売。発表後に即予約したんだけど、僕のシリアルナンバは850でした。 内容は単なるベスト版なんで割愛。ACIDMANというバンドはアルバムのトータルバランスが非常に優れているので、聴いた人はこのベスト版だけでなく是…

BUTTERFLY L'Arc〜en〜Ciel

ラルク、4年3ヶ月ぶりのニューアルバム。前作「KISS」からこんなに経っていたのか……。あらためて時の流れは残酷すぎるぜ。 しかし、この人たちは本当にブレないね。楽曲の出来が常にハイアベレージなので、どのアルバムを聴いても感動する。タイアップありき…

ヴィンランド・サガ(11) 幸村誠

幸村誠氏のヴァイキング漫画最新刊。 新章突入で再びストーリーの土台固めからなんだけど、奴隷編(前章)よりはずっと面白い。戦士のトールギルが良い感じに狂っていて素晴らしいっすね。 次の巻ではトルフィンとクヌートの邂逅も見れるか。物語序盤の二人…

龍神の雨 道尾秀介

第12回大藪春彦賞受賞作。この賞がどういった位置づけのものか分からないが、作品としては秀作でした。そろそろ作品の構造が既存作と似通ってきたが、それでも全然面白いのは流石道尾氏といったところかな。 「ラットマン」以降、道尾氏の安定感は本当に目を…

Waltz for Feebee talk

某まとめブログで貼られていた動画を見て、思わず衝動買い。3つの新曲が追加されているとあり、タイミング的にもちょうど良かった。 普段メジャーな音楽しか聴かない所為か、彼らのジャンルを見てもよくわからない。ポストロック? シューゲイザー? ロック…

硝子のハンマー 狐火の家 貴志祐介

文庫化されている「防犯探偵・榎本シリーズ」を読了。これで今年は5冊目となる。 真っ向からミステリーを描いているので、非常に好感は持てるんだけど、やっぱり他の著作に比べると地味。基本的に事件が起こって謎を解くという潔さの所為か、どうなるんだと…

BEST HIT AKG ASIAN KUNG-FU GENERATION

高校生の頃に深夜のローカル放送で「遥か彼方」のPVを見てから、もう9年経った。素人から見ても音痴で単純な演奏だったんだけど、あの時の衝撃は忘れられない。名前も知らない(しかも見た目が冴えない上に、更にPVでは汚い)バンドだったのに目が離せなかっ…

Boy's Surface 円城塔

祝! 芥川賞候補――と思ったら、ノミネートは結構されているご様子で。意外にメジャーな作家なのかもしれない。 当作品の感想については一言。とにかく訳が分からない小説という他ない。数理的要素を擬人化しようなんてトチ狂った作家はこの人だけなんじゃな…

FINAL FANTAZY ⅩⅢ-2

マルチエンディング全てに、シークレットエンディングを見終わったので感想を一つ。完全クリアの一歩手前くらいで、トロフィーが約80%、プレイ時間は約50時間ほどになる。 個人的に前作のバトルシステムは当たりで、エンジンを使いまわしてもう一作くらい、…

ビブリア古書堂の事件手帖 三上延

約8ヶ月ぶりに日記を再開。 正直文章を書いていないと、スキルがどんどん劣化していってるのを感じる。今度はサボらないように頑張ろう……。 さて、仕事のあった年末年始。疲れている中であんまり文章の細かい本は読みたくねえな、と思いながら手に取ったのは…

さよなら傷だらけの日々よ B'z

昨日のミュージックステーションSPだけど、久しぶりの出演だったので、本当に嬉しかった。しかも「Brotherhood」は、アレンジがCDとは全然異なっていたので、生演奏だったのかもしれない。 元気が出るソング特集だっけ? そんなテーマを吹き飛ばしてしまうく…

東北地方太平洋沖地震

日記を書くのが億劫になってきたので、リマインドというか、メモ帳として活用する。 多分、あと一ヶ月もすれば、僕は東北地方太平洋沖地震がどんな酷いものであったのかを、徐々に意識に外側へと追いやっていくだろう。 実際の話、関西にいる大学の後輩のtww…

松本孝弘、グラミー賞受賞

祝、最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞! 会社でYahooニュースを見た時、思わず鳥肌が立った。他人事だけど、もの凄く嬉しい。 誹謗中傷も多いTAK(というかB’z)だけど、これに関しては文句なしだろう。次はB’zの活動で世の中をあっと言わせ…

この一ヶ月で読んだ小説など

書く気ねえなぁ、と思っていたら、2月になってしまった。もう12分の1が終わったなんて考えたくないなぁ。もえない Incombustibles (角川文庫)作者: 森 博嗣出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/12/25メディア:…

今年のお気に入り

1年間があっという間だった。こんな時の流れに、来年はもう少し抵抗したい。 以下、2010年のお気に入りをリストアップ。■音楽 ・「Sands of Time」Nothing's Carved In Stone このアルバムが今年のベスト。この中毒性と完成度の高さは、ちょっと異常だった。…

SENSE Mr.Children

発売日に購入済み。「IT'S A WONDERFUL WORLD」以来の購入なので、約8年ぶりになる。 聴いてみての感想だが、もうロックバンドじゃねえな、と思わざるを得ない。「HOME」「SUPERMARKET FANTASY」に続いて、近作も小林武史が大活躍をしている(←皮肉)。「IT'…

COSMONAUT BUMP OF CHICKEN

3年ぶりのニューアルバム。 前作の「orbital period」は待ち遠しさが凄まじかったが、近作はいつの間にか発売日がやってきたという感じ。緩やかに歳をとっているんだな、と変なところで実感してしまった。 さて内容だが、「深化」という言葉がぴったりじゃな…

ALMA ACIDMAN

ACIDMANのニューアルバム「ALMA」発売。 前作の「A beautiful greed」を軽くねじ伏せてしまうような、そんな勢いを感じた。全11曲で40分少々しかないが、1曲1曲のパワーが凄まじい。休符の役割を持つ曲が無い為、非常に聴き応えのあるアルバムだった。完全に…

「リアル(10)」&「3月のライオン(5)」

心の強さを己に問いかける、そんなマンガ2冊。 気持ちが腑抜けている時や心が折れそうな時に、読むと良いかもしれない。自分自身を僅かでも奮い立たせることができるだろう。感動に+αのあるマンガは、やはり素晴らしい。 間違いなくオススメ。リアル 10 (ヤ…

ロトの紋章〜紋章を継ぐ者達へ〜(11) 藤原カムイ

武闘会篇の続き。 どうしてこのマンガは爽快感を捨て続けるのだろう? イシスに着いてから、既に4冊。展開の遅さに加え、敵が誰かも分からないので、イヤでも渋滞感が付き纏う。他のフラグも全く解消されず、新たに立てる始末で、本当に良いトコが少ない。で…

鋼の錬金術師(27) 荒川弘

ハガレン、堂々の完結。 少年漫画の中では、おそろしいほどキッチリとした最終回を迎えたと思う。終始ブレない骨太なストーリー展開も素晴らしかった。ここまで無駄がないと思えるのは、ダイの大冒険以来かもしれない。ホントに素晴らしいマンガだと思う。 …

的を射る言葉 森博嗣

森博嗣流「本日の一言」を寄せ集めた本。 タイトルで的を射ると書いているが、これは真っ赤な嘘。どちらかと言えば、的を狙って外したであり、正直毒にも薬にもならない内容だと感じた。 個人的にだが、森の著書の中ではかなりツマラナイ部類に入る。どうせ…

Bring the Light Beady Eye

ついにBeady Eye始動。初の楽曲は「Bring the Light」という、アップテンポなロックンロールチューン。 Oasisからの落差がある所為なのか、どうにも評判は良くないのかな? ただ、ノエルが抜けたらどうなるかを端的に示してくれた一曲になったと思う。今まで…

遠まわりする雛 米澤穂信

古典部シリーズ、第4弾。 近作は日常の古典部員たちを描く短編集となっている。なお最新作「ふたりの距離の概算」では2年生に進級しているので、1年生はここまでのようである。 読み終わった感想としては、古典部シリーズの中で一番面白い、それどころか米澤…

あんじゅう 三島屋変調百物語事続 宮部みゆき

宮部みゆきの新刊。「おそろし 三島屋変調百物語事始」の続編である。 「小暮写眞館」も同じだったけど、読み進めるペースがぐっと加速するまでに時間がかかった。ただ中身としては、同様に申し分なし。近年の宮部は好調と言っても差し支えないだろう。 前作…

カンガルー日和 村上春樹

村上春樹の短編集。まあ短編というよりはショートショートかな。さっくり読むには良い感じと思って購入したが、読み終わるのに結構時間を要してしまった。つまり、個人的には凡作いう評価に当てはまる。 村上春樹のシュールで独特な感じは嫌いじゃないんだけ…